反戦ビラ有罪判決・受け手の気持ちも反映されてこそ
この時期になると、皆さんのお宅の郵便受けには、クリスマスセールとか、お歳暮のチラシとかが入る時期なのではないでしょうか。そして、来月になれば、年賀状のシーズン。郵便受けをチェックするのが楽しみなシーズンではないかと思います。
でも、郵便受けに運ばれてくる郵便物がもたらすのは、嬉しさだけでなく、ピンクチラシとか選挙期間中における違法なビラとか、不快感とかもたまにありますね。
今回はこのことについて考えてみましょう。
12月11日の琉球新報の社説は、東京都立川市で、自衛隊宿舎にビラを配った市民団体メンバーが逮捕されたことをとりあげたものでした。
~引用開始~
琉球新報 平成17年12月11日 社説
反戦ビラ有罪判決・自由にモノが言えてこそ
反戦ビラを郵便受けに配るため自衛隊宿舎に立ち入った行為は、刑事罰を科せねばならないほどのものなのか。控訴審判決の記事を何度読み返しても腑(ふ)に落ちない。どうにも釈然としない判決である。
自衛隊のイラク派遣に反対するビラを東京都立川市の自衛隊宿舎に配布して住居侵入罪に問われた市民団体メンバー3人に対し、東京高裁は全員を無罪とした一審判決を破棄し、逆転有罪判決を言い渡した。
事実関係については1、2審を通じ争いはなかった。争点となったのは、自衛隊のイラク派遣に関する見解を直接、伝えるという動機の正当性、ビラ配布の仕方、居住者に与えた迷惑の度合いなどである。
一審判決は被告らの行為を住居侵入罪に当たるとしながらも「憲法が保障した政治的表現活動である」と判断し、動機の正当性を認定した。
3人は、ビラ配布に際し、少人数で昼間に配るなど配慮している。立ち入った場所も誰もが入れる共用部分だった。それゆえ一審は居住者のプライバシーについても侵害などの被害はほとんど与えなかったと、結論付けた。
一審判決は、分かりやすく言えば、住居に立ち入った行為は良くないけれども、処罰するほどの違法性はないというものである。多くの国民の常識に沿った妥当な判断だととらえるのが、普通の感覚ではなかろうか。
ところが、高裁判決は違った。一審判決とはことごとく正反対の結論を導き出した。
ビラ配布に対し、政治的意見の表明は言論の自由として保障されるとした。しかし、その上で「管理者の意思に反して立ち入ってよいということにはならない」と退けた。
住民側が部外者の立ち入りを拒否する掲示をしていたことを重視したもので、かつて居住者にビラ投函(とうかん)を見とがめられ、やめるよう要求されながら同様の行為に及んだことが、判断に大きな影響を与えた。
ビラ配りは、日常的によく目にする光景だ。商売上の宣伝ビラもあれば、社会正義の達成に通じる手段と信じ、同調を求めて配る政治的なビラなど、内容は多種多様である。
自分の意見と見解を異にする内容のビラを受け取るのは、誰しも気が進まない。時に不快感を覚えることだってあり得る。しかしピンクチラシなど一部の例外を除けば、大方は、許容範囲ならそれほど目くじらをたてない。
表現・言論の自由を失えば、社会はろくな方向に向かわない。自由にモノが言えない、縮こまった社会など願い下げだ。
~引用終了~
※赤文字での強調は引用者による。
上記の、琉球新報社説に反論させていただきます。
かつて居住者にビラ投函(とうかん)を見とがめられ、やめるよう要求されながら同様の行為に及んだのなら、有罪判決を下されて当然です。
>ピンクチラシなど一部の例外を除けば、大方は、許容範囲ならそれほど目くじらをたてない
やめるよう要求されてもそれを無視した、つまり許容範囲を超えてしまったのですから、目くじらを立てられたんでしょうが。そのチラシの内容が「小泉首相に靖国神社参拝を求めよう!」とか、あるいは「辺野古への米軍基地建設に反対しよう!」とか書かれてても、そのビラを受け取る側がそれをどう感じるかという点も大事なのです。そこも配慮されてしかるべきです。そのビラにどんな美辞麗句が並べてられていても、配る方法に問題があるようでは、社会正義の達成など絶対に無理です。
>
表現・言論の自由を失えば、社会はろくな方向に向かわない。自由にモノが言えない、縮こまった社会など願い下げだ。
確かに、この点については同意しますが、この事件と「表現・言論の自由」云々は関係がありません。なぜなら、どんなやり方(チラシ、新聞、雑誌、テレビ、インターネット、市街地でのデモ行進、後援等での集会)でも反戦という意思の表明を表明したらいけない、それに反したら逮捕されるというならわかりますが、日本はそういう状況にはなってないでしょう。琉球新報さんが上記のような社説を掲載できていることがその証拠の1つです。今回の事件で、住民に拒否されながらもチラシを配った市民団体メンバー3人が捕まったからといってモノが言えない縮こまった社会への第一歩だなんて、論理の飛躍です。
例えば、琉球新報社に対し、どこかの団体から「反米反日マスゴミによる沖縄赤化断固阻止!」みたいなことが書かれたビラ、FAX、電子メールが毎日毎日大量送られ、その団体にそれをやめるよう言っても聞いてもらえなかった場合、琉球新報さんはどうするんでしょう。
この事件に関して、私は、「国家主義者だ」とか「表現の自由のありがたみがわからないのか」とかいわれようが、東京高裁の判決を断固支持します。
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