無防備地域宣言を考える

yuu

2005年11月24日 01:59

前回書いた「無防備地域宣言」について、先日(11月21日)、産経新聞に、関連記事が掲載されました。

この記事をもとに、この宣言の内容を考えてみました。
「無防備地域」宣言 国防協力を拒否? 21自治体、条例化へ署名運動
(産経新聞 平成17(2005)年11月21日)

 ジュネーブ条約で有事の際に攻撃が禁じられている「無防備地域」の宣言をするよう地方自治体に求める運動が全国に広がりをみせている。これまでに宣言条例が成立した例はないが、確認されただけで二十一区市町で署名活動などが進められている。国の責任で行う防衛行動を自治体が制約することには疑問があるほか、国民や自治体に協力を定めた国民保護法、武力事態対処法に正面から反する問題点も指摘されている。 
 運動が展開されているのは、札幌市、苫小牧市、東京都国立市、神奈川県藤沢市など二十一区市町(判明分)。「宣言すれば平和を確保できる」「武力攻撃を免れることが可能」などの合言葉で戦争不参加や反戦を呼びかけ、自治体に「無防備地域」宣言の条例制定を請求するため署名運動などが進められている。
 すでに全国規模の連絡組織もできており、署名が法定数に達した大阪市、大阪府枚方(ひらかた)市、兵庫県西宮市などでは市議会に条例が提出されている。
 ジュネーブ条約追加第一議定書は「紛争当事国が無防備地域を攻撃することは手段のいかんを問わず禁止する」と規定。敵国の占領や攻撃に対し、抵抗も武装もしない地域を無防備地域とし、敵の無血占領を認め、無条件降伏を宣言することで、消耗戦や敵の不必要な攻撃をやめさせ、住民の無用の犠牲を防ぐのが本来の狙いだ。
 ただし、地域に指定されるには、(1)すべての戦闘員や移動兵器、移動軍用施設が撤去されている(2)固定された軍用施設や営造物が敵対目的に使われていない(3)当局や住民による敵対行為がない(4)軍事行動を支援する活動がない-などが必要条件。宣言してもこうした条件を満たせない場合は背信行為とみなされる。
 しかし、自衛隊の施設などの管轄権は自衛隊法で内閣総理大臣にあると規定され、地方自治体には与えられていない。政府や自衛隊などと合意なしに戦闘員や軍事施設の撤去などを地方自治体が実行することは非現実的だ。
 国民保護法なども自治体に国の方針に基づく協力義務を定めており、自治体が条例でこうした条件を確保する規定を勝手に盛り込む行為は、国防への協力拒否を意味するだけでなく、仮に条例が制定されても法律違反として無効とみなされる可能性が高い。
 ジュネーブ条約はこれまでも守られないケースが多々あり、「条約に依拠して宣言したところで地域住民の安全は守れない」といった声も出ている。
 これまでに、条例を可決した自治体はないものの、運動自体は次々と別の地域で展開される状況が続いている。

(※赤字強調は引用者による)

敵国の占領や攻撃に対し、抵抗も武装もしない地域を無防備地域とし、敵の無血占領を認め、無条件降伏を宣言すること
こんなんで、本当に国民の安全を守ることができるんでしょうか。
占領されてしまったら、占領者側にとって都合の良い社会になってしまう可能性があります。
占領者に対しデモを行ったら逮捕されてしまう社会。
占領者側が事件や事故を起こしてもそれが許されてしまう社会。
占領者が女性へのレイプ事件を起こしても許されてしまう社会。

もし、この条例の制定を目指しているプロ市民の皆さんは、自分の地域がそのようになってもいいんですか?この無防備宣言をした他の地域が占領者のやりたい放題になってしまっても、自分さえ良けりゃそれでいいんですか?

(1)すべての戦闘員や移動兵器、移動軍用施設が撤去されている(2)固定された軍用施設や営造物が敵対目的に使われていない(3)当局や住民による敵対行為がない(4)軍事行動を支援する活動がない
このうち、「(3)当局や住民による敵対行為がない」という条件、無防備宣言条例推進派のプロ市民のみなさんは、例えば目の前で友人や家族が占領者側に暴行されていても、ただ黙って見ているだけなんですかね?口で「やめろ!!」といっても占領者の連中が受け入れなかった場合、どうするんですか?

ジュネーブ条約はこれまでも守られないケースが多々あり、「条約に依拠して宣言したところで地域住民の安全は守れない」といった声も出ている。
とても素朴な疑問ですが、占領者連中がこの条約を守るという保証がどこにあるんでしょう?もし、口でいってもわからないジュネーブ条約違反の占領者がいたとしたら、上記の4条件に反しない形で占領者にそれを守らせるにはどのようにするんですか?

平和はとても大切であり、それを目指そうという考えは肯定します。しかし、「無防備地域宣言」のようなやり方で本当に平和を実現できるかどうか。答えは「否」です。平和実現どころか、この国にとってセキュリティホールになりかねません。

何されてもどんな理不尽なことをされても抵抗しない、それが「平和主義」というのでは、本当の「平和」なんて絶対に実現できません。そんな考え方、条例とかにしようとしないで自分たちだけで自由に貫いていてください。そんな「平和主義」、私はいりませんから。

その考え方を否定する立場が「軍国主義」とか「右翼」というように定義されるなら、私は「軍国主義者」でも別にかまいません。

私は、無防備地域宣言条例化、および日本各地で行われている無防備地域宣言条例化推進運動に断固反対します。
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